いつもアツザワ・プロテーゼ九州のブログをご覧いただき
誠にありがとうございます。
朝夕と冷え込む日も増えてきましたが、皆様いかがお過ごでしょうか?
空気の乾燥する秋冬は義眼を装用されている方にとっては、
お辛い季節かと思います。
特にお子様が義眼を装用されていらっしゃる場合には、
義眼のお手入れとあわせて、瞼の保湿もぜひ行うようにされてください。
さて、今日は、海外の義眼関連グッズについてお話ししたいと思います!
義眼の『専』用品というのはあるのか
時々、患者様やご家族の方より、
海外製の義眼専用ケア用品ついて、
ご質問をいただくことがございます。
海外ではスポイトの他にも、
1種類、義眼「専用」の潤滑剤というものが販売されています。
こちらは義眼表面の乾燥による不快感を緩和する目的で使用する液体です。
日本でも個人的に輸入されてインターネット上に口コミを
アップされていらっしゃる方がいらっしゃいますので、
ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
※こちらの製品は日本未承認品です。
日本国内で無料で第三者への譲渡、販売など一切おこなうことは出来ません。
また、公告とみなされる行為や効果を保証するような
情報の流布も禁止されています。
その点、何卒ご理解くださいますようお願いします。
さて、義眼の専用品が販売されているのであれば、
海外の方はみなさんその商品を使用されているのかと言えば、
実際のところはそうでもありません。
もちろん、海外でも良い口コミを耳にすることや目にすることはあります!
しかし、ドラッグストアで購入できないこと、価格、使用感、など
さまざまな理由から、少なくとも、私がカナダに研修に行っている間に
お会いした患者様の中に継続して使用されている方は
お一人もいらっしゃいませんでした。
また、ASOで話を聞いた中では、内容物がゲル状になって
義眼床に残っていることがあるという義眼師もいました。
安全面への不安から義眼師側もラボでの取り扱いをやめるなど、
積極的にはおススメしなくなってきているという一面もあります。
海外の義眼ケア用品について
このように、義眼装用者の方のみのために販売されている商品は
海外でも非常に珍しいですが、
アメリカの医療機器メーカーさんの中には、
「義眼ケア用品」という商品群を持っていらっしゃるところがあります。
その一部の商品は日本でも販売されています。
弊社で取り扱っている『オキュソフト』もそういった商品の一例です。
しかし、こちらはドライアイの方向けの商品など、
「もともとは他の用途で開発されているものですが、
義眼を装用されている方にもご使用いただけます」
というメーカーさんからのご提案となっています。
海外で義眼を装用されている方は何をつかっているのか
せっかく販売されている義眼専用品も
それほど使用されていないのであれば、
義眼を洗う時、義眼の乾燥が気になる時、
海外の方は何を使っているのでしょうか?
ASOで話を聞いた大多数の義眼師で共通しているのは、
コンタクトレンズを装用されている方向けの商品または、
ドライアイの方向けの商品の活用を提案しているということでした。
実際お話しをうかがうことのできた海外の患者様もみなさん、
地元のドラッグストアで購入できるものを使用されていると
おっしゃっていました。
アメリカではすぐ病院にかかるのが難しかったり、(むちゃくちゃ遠い!)
保険や各種規制が日本とは違うため、
市販薬に配合されている成分やその濃度が日本の市販薬とは違う場合があります。
そういった点が効果に影響する部分は、もしかすると、あるのかもしれません。
しかし、ドライアイ用点眼薬の成分に関しては、ドラックストアで少し
確認した限りでは、日本の市販薬でも近いものが見つけられるという印象をもちました。
そして経験上、点眼薬の容器は圧倒的に日本製のものが使いやすいです(笑
北米の一部ではそれ以外にも、スーパーやドラッグストアで販売されている
本来、眼に使用することを想定していないさまざまなものを活用した
民間療法なようなものがいくつか流行っていたりもします。
しかし、そのどれもが科学的検証がなされていません。
今後の報告を待ちたいと思います。
海外の義眼師とケア用品のかかわり方について
残念ながら、乾燥や乾燥感、分泌物に関するお悩みは
日本、海外、手術方法や義眼の作製方法を問わず
多くの義眼装用者の方にみられます。
義眼のケア用品や、乾燥対策用品については
みなさまの関心が高い分野ですので
アメリカ義眼師会(ASO)で義眼師と話す時には、
特に気を付けて話題に出して情報交換に努めています。
ASO会員の間でも、
同じ商品について意見を求めた際に、使用をすすめない方とすすめる方がいます。
まず大前提として、義眼師は、お薬の専門家ではありません。
医療や医薬品については、
「医師でなくてはならない」
「薬剤師でなくてはならない」
と定められているさまざまなルールがあります。
この点は、程度の差はありますが海外の義眼師にとっても同じです。
そのため具体的な商名は一切患者さまには提示しないという方や、
ケア用品を一切販売しないという方もいます。
このように義眼師の方針はさまざまです。
弊社で販売している商品やご紹介しているケア方法のみが正しく、
他の商品やケア方法をおススメされている方が間違っている!
ということでは決してありません。
ご自身にとって相性の良いお品、方法を見つけられてください。
そして、何か良い発見があった時にはぜひ私にもお聞かせください♪
繰り返しとなりますが、
義眼師はお薬の専門家ではないという点、
どうかご理解いただき、
点眼薬や軟膏についてのご相談は、
必ず眼科の先生または薬剤師の先生に
していただきますよう何卒よろしくお願いします!
2018年11月14日 14:59