いつもアツザワ・プロテーゼ九州のブログをご覧いただきありがとうございます。
週末、テレビで映画、『SING』が放送されましたね。
みなさまご覧になりましたか?
放送後、SNS上の映画の感想のなかには、
義眼やミスクローリーについてのコメントもちらほらあり、
子供向けの映画なだけに、週明け、何か聞かれたりしなければいいな・・と心配しています。
以前、私もメディカルイラストレーション学会でお会いした方に
「義眼を作っている」と伝えたところ、「義眼って飛び出るんですよね?」とおっしゃられたので、
なぜそう思ったのか聞いてみたところ「SINGって映画で見た」という答えが返ってきました。
せっかくの機会ですから、その方には正しい情報をお伝えしておきましたが、
同席していた友人曰く「飛び出るんでしょ?」と言われた瞬間、
私の顔には「ウンザリ」と書いてあったようで反省しています(苦
義眼を作っている人間というだけでも、
本当によく「義眼って飛び出るんでしょ」と聞かれます。
質問というより、義眼は脱落するという前提で
ほとんど自動的に義眼=「外れるんでしょ?大変だね」と感じられるようです。
優しい気持ちから出てくる言葉だというのは理解しています。
そういう言葉をかけられた時には丁寧に説明していけば済む事ではあるのですが、
実際に装用されている方やそのご家族は一体何ど同じ質問を受け、
何度同じ説明をしてこられたのかと思うと、
間違った先入観は無いに越した事はありません。
映画、「SING」はおそらく「多様性」がテーマでしょう。
でも、「多様性の大切さ」を子供達に伝えるための作品だというアピールのポイントの1つにしたくせに、
あの雑な扱い・・その事を指摘する映画評論家も見た事ありません(苦
外れて転がる、跳ね回るという描写の他に、
英語のサイトではミスクローリーの義眼には「Mada in China」と書かれているという指摘もあります。
そう言われてみると、交際の色もやや茶色寄りに見えます。
義眼は工業製品ではありませんので、Made in Chinaと刻印された義眼がアメリカで装用されている事実はありません。
今までも色々な作品で義眼が登場してきましたが、
「SING」における義眼の扱いは作品のもつメッセージと相反するもので最悪だと思いますし、
予算も、スタッフもたくさんいただろうに、
ネット検索すれば、地元のラボに電話一本かければ済む話なのに、
製作者の方々は本当に何も知ろうとしもしなかったんだなと怒りを感じます。
きちんと取材し、現実にそった内容にしてくれていたら、
一度に多くの方の誤解が解けるきっかけになったと思います。
少なくとも、わざわざ、現実には存在しない問題を存在すると誤解させ
間違った先入観を何も知らない子供に植え付けるようなことをしなくても良いと思うのです。
具体的な映画名を明記しておけば、
映画をきっかけに義眼にご興味を持たれた方が
映画名 +義眼といった検索でこちらのブログへ
お越しいただけることもあるかもしれません。
私がここでハッキリと書いておくことで、
少しでも正しい知識が広がってくれればと思っています。
安定して装用されている義眼は、落ちません。飛び出しません。弾みません。
走ったり、ジャンプしたりしてもそれは同じです。
ボール状ではありませんから転がりません。
生きている人間の装用するものとしてはボール状の義眼は歴史上存在したことはありません。物理的に無理です。
胃や腸など、他の臓器を摘出したとき、体内にその臓器の形のポッカリとした空間ができると
思われる方は少ないのでは無いでしょうか?
眼窩内も同じです。周囲の組織である程度は埋まります。
人体に手術で埋め込むものでもありません。
アメリカや日本では、色も残された目の色に合わせて一つ一つ完全国産で作っています。
SNSで義眼と検索すると、驚くほど多くの方がキャラクターの個性としての
「義眼」について語っていらっしゃるのを見かけます。
もしかしたら、今このブログをご覧になられている方の中には、
小説、漫画、創作活動をされていて義眼を登場させようと
思っていらっしゃる方もいるかもしれませんね!
フィクションでアレンジするにしても、
ぜひまずは正しい知識に触れていただければと思います。
そのためにこのブログもお役立ていただければ幸いです。
2019年03月19日 21:13