いつもアツザワ・プロテーゼ九州のブログをご覧いただき
誠にありがとうございます。
以前こちらのブログでも触れましたが、
日本は、ガラス製義眼の完全国産化に成功した数少ない国の一つです。
残念ながら、現在の日本では装用を目的としたガラス製義眼は作製されていません。
しかし、今でもまれに、数十年間ガラス製義眼を大切に装用されていた患者様から
「割れてしまった・・」とご連絡をいただくことがあります。*
以前は、義眼を分類する際に
薄い義眼のことを『シングル義眼(一重義眼)』、
厚い義眼のことを『ダブル義眼(二重義眼)』
という言葉が使われていました。
シングル義眼・ダブル義眼という言葉はガラスで
義眼が作製されていた頃の名残で、
ガラスの義眼の断面に由来していています。
義眼の素材が合成樹脂になったことにより、
これらの言葉は現在ではほとんど使われていません。
英語でも、日本同様、現在ではほとんど使われることはありませんが、
そのまま、それぞれSingle walled ocular prosthesisと
Double walled ocular prosthesisと呼ばれていました。
資料用に保管している割れたガラスの義眼を見ると、
なぜ、『シングル』『ダブル』と呼ばれてたのかが一目でわかります。
ガラスは壊れやすい、修繕や研磨ができないなどのデメリットもありますが、
ガラスにしかないメリットもあるそうで、
ヨーロッパを中心に現在でも合成樹脂製義眼と平行して
ガラスの義眼も作成されています。
2018年にもガラス製義眼に関する論文が発表されているのを見ると、
100年以上使い続けられている素材もまだまだ世界的には
素材として現役なのだな・・と感じます。
*合成樹脂でも、ガラス製義眼でも、義眼は作り変えが必要です。
同じ義眼を数十年使用することは義眼床のトラブルの原因となる恐れがあります。
ガラス製の義眼をご使用されている場合には義眼の交換の検討をお勧めします。
2018年09月06日 16:27