義眼の情報に対して抱えるジレンマ
いつもアツザワ・プロテーゼ九州のブログをご覧いただきありがとうございます。
「義眼に関する情報が無い」
そういった現状があることを真摯に受け止め、
より広く!簡単に!公平な情報が皆様に届くような方法を模索してきました。
しかし、なかなか形になるまでに至らず申し訳ございません。
必要とされていると感じる内容として、
・義眼の使用方法、ケア方法、費用のこと
・特に義眼を装用することになったのが、お子様だった場合、
1年後、5年後、大人になってから、
どんなことが起きることが想定されて、その時どう対応すればよいのか
といったものがあるように思います。
その他に求められている情報の中には、
実は、義眼ではなく、「医薬品/医薬部外品」や
「未承認医療機器/未承認医薬品/未承認医薬部外品」
などに関するものが多く含まれているように感じます。
今日は義眼装用時に使用する「医薬品」
「医薬部外品」、「医療機器」(未承認のもの含む)についての
情報がほとんどインターネット上で公開されていない理由について
少し書いてみたいと思います。
日本には、医薬品、医薬部外品、医療機器、化粧品等の
情報の取り扱いについてさまざまな規制があります。
義眼とは直接関わりはありませんが、
この6月からから改正医療法によってクリニックや歯医者さんなどの
ホームページも広告の一種とみなされることになったことから、
ビフォーアフターの写真や、口コミの掲載も原則禁止となったと
先日ニュースで取り上げられていました。
このように、医療にかかわるさまざまな情報の伝え方に対するルールはより厳しく
なっていく傾向にあるように思います。
下記は、医療機器、医薬品、医薬部外品、化粧品に
関するルールのほんの一部です。
以下、厚生労働省のホームページより一部抜粋――――
第六十六条 何人も、医品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする
(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)
第六十八条 何人も、(一部省略)の承認又は第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
――引用ここまで「医薬品等の広告規制について」―――
義眼を装用されるご本人やご家族にとって、
情報を知りたいと思うのはごく当然のことと思いますし、
私も義眼に関連する知識としてさまざまな情報収集に努めています。
しかし、お薬や医療機器は義眼師の専門外であるにも関わらず、 効果を保証したと誤解をまねくおそれがあるため、 基本的に義眼師から患者様やご家族、
その他一般のみなさまへ対して、
薬や医療機器または治療に関する情報を発信することはできません。
また、念のため、ケア用品などに関しても、
「その他の者(=義眼師)がこれを保証」したと思われる可能性が
ある表現はできるだけ避けることにしています。
結果として、当たり障りのないことしか言えず、
何だかスッキリしない回答になってしまうことも多く、
心苦しく思っています。
実際に効果の感じ方には個人差もございますので、
この点はご理解いただければと思います。
尚、海外で使用されている未承認医療機器・未承認医薬品・未承認医薬部外品について、
(海外で使用されている義眼専用点眼剤・義眼台などがこれに該当します)
「何人とも」とある通り、患者様ご本人や、ご家族であっても規制の対象になります。
インターネット上で公開する情報の内容・表現方法については十分ご注意下さい。
医薬品、医療機器の広告規制は、
国が医療を受ける側の安全や利益を守るために定めたものですから、
守らなくてはなりません。
とはいえ、患者様やご家族のお気持ちを考えると、
持っている情報くらいはお伝えしたいとも思ってしまいます。
そのあたり、非常に悩ましいです。
お会いした時にご質問いただいた事にはできる範囲で
お話しするよう努めていますが、上記の文章に書かれている通り、
広告や宣伝だけでなく、 「流布」も規制対象とされているようです。
インターネット等を通じた患者様やご家族間での情報交換が盛んな今、
流布させるつもりが無くても、意図せず拡散してしまったり
してしまうこともあるため、
このような情報の取り扱いには注意が必要だと感じています。
どこからが広告とみなされるのか、
どこからがNG表現か、などの判断も難しく
もう何も言うべきではないのかもしれないという気分にもなりますが、
ルールの範囲内で、少しでも参考になるようブログも書いていきたいと思います!
至らぬ点も多いかと思いますが、
今後もぜひ、よろしくお願いします♪