映画の中の義眼はウソだらけ!②
こんにちは!いつもアツザワ・プロテーゼ九州のブログをご覧頂き
誠にありがとうございます。
先日は映画、『パイレーツ・オブ・カリビアン』に見られる
実際には起こりえない義眼の描写についてご紹介させていただきました。
つづいてご紹介するのは、アニメ映画です。
SING シング
2017年3月に公開された3Dアニメ映画です。
日本でも人気女優さんや歌手の方々が多数声をあてていますし、
いずれ地上波で放送されるのではないかと思います。
この映画には劇場で事務員さんとして働く
ミセス・クローリーという、
心優しい片眼に義眼を装用したイグアナのキャラクターが登場します。
■やっぱり繰り返される「義眼が飛び出す」というくだり
映画の冒頭、物語のキーとなる重要な場面で、
扇風機の風に当たっただけで
義眼がクルクルクル~~~と回転し始め、ポン!と飛び出してしまう。
と言う衝撃のシーンがあります。
その後も義眼が外れて転がるというシーンは劇中何度か繰り返されます。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』同様、ボール状で転がりまわり、跳ね回ります。
さすがにこんなことは起こらないのではないかと思われるほど
突き抜けているだけラゲッティよりはマシなのでしょうか?
ピクサーやディズニーなどのアニメ映画では
登場する植物など、時には生息地へ実際に出向いて取材をしたりして
細かくデザインされている。と、
DVDの特典映像で眼にすることがありますが、
動植物の取材は出来るのに・・と残念に思います。
見たものを正直に受け取ってしまう子供向けの映画だからこそ、
もう少し丁寧に扱ってほしいと思ってしまいます。
■Made in China?
飛び出した義眼の表面にほんの一瞬「made in China」と
書かれているのが確認できるとアメリカのネット上で指摘されていたので、
確認してみたところ、確かにそのように書かれているように見えます。
そう思って見ると、ミス・クローリーの目はグリーンっぽいのに、
義眼のほうは黒に近い茶色。アジア人の目の色に見えるような気もしてきます。
アメリカが広く既製義眼を輸入していたのは戦前までです。
その輸入元はフランスかドイツなどのヨーロッパに限られていました。
万が一、中国製が現代のアメリカに輸入されていたとして、
中国ではガラス製義眼が主流だそうですからガラスの義眼の可能性が高いと思います。
でも、そう考えると、劇中あれだけ跳ね回って割れないのは不自然です。
また、義眼は機械での大量生産品ではないので、
恐らくMade in Chinaなどとわざわざ印字したりしてしないと思います。
もし本当にMade in Chinaと書かれているのだとすれば、
なぜあえてそんなことをしたのか気になります。
つぶれかけの劇場の職員=お金がない=安いもの=既製品=中国製と
安易に考えたのでしょうか。
最近のアメリカ映画は「多様性」をキーワードにしたものが多いように思います。
義眼や義眼を装用しているキャラクターを「多様性」を表現するための記号のように扱うのではなく、
もう少し真面目に取材して、作品に登場させて欲しいと思ってしまいます。
フランク・シナトラ、エルトン・ジョンなどの懐かしい名曲から、
アリアナ・グランデやビヨンセ、
日本人としては少し残念な扱いのきゃりーぱみゅぱみゅまで、
劇中にちりばめられた音楽がとても楽しい映画だったのですが、
仕事柄、細かいことが気になってしまった一本でした。