映画の中の義眼はウソだらけ!
アツザワ・プロテーゼ九州のブログをご覧いただきありがとうございます。
映画やドラマ、漫画などの最後に「この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・ 名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。」
というメッセージを目にすることが多いですよね。
でも、「そんなワケないじゃん!」と判断できるほど
一般的に知られていない職業などが題材となった場合、
その架空のイメージが「そういうもの」として
受け取られてしまうことも少なくないと思います。
義眼も時々、映画やドラマ、漫画などに登場することがありますが、
残念なことに、これらは義眼に接したことの無い人にとって
誤解を招く原因となっています。
義眼を装用されているご本人やご家族であっても、
特に初めて義眼を装用される場合には
「そういうもの」と思い込んでいらっしゃることも珍しくありません。
そこで!
今日はそういった「ウソ」に対して
「違う!そうじゃない!」と声を大にして言ってみます!!
まずは!
大ヒット映画
パイレーツ・オブ・カリビアン
この映画の影響の大きさには海外の義眼師も頭を抱えています・・
海賊ラゲッティと言っても誰だかわかりませんよね?
でも義眼をしたちょっとおマヌケな海賊だと言えば思い浮かぶ方も多いのでは?
このラゲッティさんの義眼、
ポロポロと落ちて、コロコロ転がったり、
猿に取られたり・・。
■ 義眼はボールじゃなーーーーーーーーい!!
眼窩の中には眼球や筋肉の他、脂肪が詰まっています。
眼球が摘出された後は重力によりその脂肪が下のほうにおりてくるため、
もともと眼球のあった球状の穴は脂肪である程度埋まってきます。
そのため、球状の義眼は入れることができません。
この映画には東インド会社が登場しますから、17世紀~18世紀が舞台になっていると思います。
以前、「義眼の歴史」でご紹介しましたが、
そのころにはすでにガラス製の義眼が作られていました。
それ以前、16世紀であっても記録として残っているのは、
目の描かれた金属製の眼帯のようなものか、
薄い貝殻のような形状のものかのいずれかであって、
発見されている最古の義眼から現代まで、
少なくとも私の知る限りはボール状の義眼はありません。
また、これは完全に私個人の勝手な想像ですが、
ラゲッティは海賊ですし、失明原因は外傷ではないでしょうか?
ケガをして失明後に眼球萎縮している状態だとすると、
ボール状の義眼なんて絶対に入るワケ無いのです・・・
義眼を初めて作成されて、形が思っていたの(ボール)
と違っても、それが普通ですので、どうぞご安心してご使用ください。
■ 義眼はそんなに簡単に外れなーーーーーーい!!
これについては本当に罪深いと思います。
義眼を装用することになったご本人や
ご家族を不安にさせてしまうことはもちろん、
多くの方に「義眼は落ちて転がる」という
実際とは異なった印象を与えてしまったと1つの原因ではないでしょうか。
もちろんこの映画だけが原因ではないでしょうが、
大ヒット作品だけに、
「義眼」と聞いた時に、転がる義眼を追いかけるラゲッティの姿を思い浮かべる方も
いらっしゃるのではないかと思います。
安定して義眼を装用できるような義眼床と瞼の状態で、
義眼を正しく装用できていれば、
通常の生活の中では義眼はそう簡単に外れません。
少なくとも、彼のようにのように頭を叩かれたり、
転んだくらいで、ポンと飛び出すなんてことは、
絶対にありません!!!!!!!
恐らく、入れ歯が飛び出して勝手に動きだすくらいの
感覚での演出なんでしょうけど、
義眼は入れ歯ほど身近な方が少ないので、判断しにくいかと・・。
いっそ、目玉親父のように手足が生えて走り回りでもすれば別ですが(笑
また、このように義眼の登場する作品にツッコミをいれつつ
ご紹介していこうと思います♪
自分も医療ドラマ、刑事ドラマ、学園ドラマ・・いくらそれっぽくても、
真に受けてはいけないなぁ~と改めて感じます。気を付けなければ!