出土した義眼の鑑定をご依頼いただきました
福岡県筑後市の教育委員会の方から、
江戸末期から昭和初期ごろのお墓から発掘された
ガラス製義眼の鑑定依頼を頂きました。
拝見させていただきましたところ、素材は鉛ガラス。
虹彩とおもわれる部分は墨で丸く描かれており
形状はとても実際の装用に耐えられるようなものではありませんでした。
また、専門の技術者であれば
墨を用いて虹彩を描くことはまずあり得ないことなどから、
この義眼は生前に使用されていたものではないと結論づけました。
この義眼と共に埋葬されていた方は
恐らくまだ幼い女の子だったのでしょう、
拝見した資料写真には
同じお墓から出土した副葬品として、
ゴム製の毬や、草履も記録されていました。
如何に稚拙な作りの義眼とはいえ
亡き子にこれらを手向けられたご家族のお気持ちは
いかばかりであったかと思うと
胸にこみ上げるものがありました。
わずか縦横2センチにもみたない
ガラスの切片を義眼ではないかと推測され、
わざわざ当方までお越し頂いた
教育委員会の方の思いも推し量られるような、
大変良い経験をさせて頂きました。感謝致します。
その後筑後市より発掘後に作成された分厚い
資料をお送り頂きました。お礼申し上げます。
T.Mitsuyasu
2016年03月22日 14:39